おじいちゃんが巨大な虫になってしまいました（10代女性からの依頼）

おじいちゃんが巨大な虫になってしまいました（10代女性からの依頼）

「奇妙なお悩み相談」に寄せられた悩みを解決していくコーナーです。

お便り（K市 566番地 96-1113-44-4-506）

おじいちゃんが巨大な虫になってしまいました。
まるでカフカの変身と同様に、朝起きると、ベッドに眠っているおじいちゃんが巨大な虫になってしまっていました。黒くて大きな体をしており、脚は10本くらい生えています。目は赤くギラギラしていて、壁に張りついて、こちらをじっと見ると、悲しそうな目をしました。
カフカの変身と異なるのは、おじいちゃんがすでに仕事を引退して年金暮らしをしている、という点です。また体力的にも、おじいちゃんなのでそこまで派手に動き回らないだろうし、奇声をあげたり、大量の食事を用意しなければならない心配もなさそうです。
このまま巨大な虫になったおじいちゃんが死ぬのを待つことが最善なのでしょうか。
いいアイデアがあったら教えてください。

今回は、昆虫学者と、カフカを研究する大学教授、介護ケアの専門家をお呼びしております。

昆虫学者の見解

イラストだけ確認しましたが、これを昆虫と断定するのはいささか早計すぎると思われます。
第一、これは本当にあなたのおじいちゃんが変身したものなのでしょうか？
コスプレの奇癖などありませんでしたか？
こういう種類の質問が最近多くて困っているんですよね……
正直うんざりしています。
わかります、わかりますよ。
家庭において、おじいちゃんを持て余してしまっている現状は重々承知です。
10代の女性？
ということはお孫さんですかね。
きっと、おじいちゃんのいやらしい視線が気になっていて、パンツとか触られていないか不安なんでしょうな。
あのね、おじいちゃんてそういうもんです。
でもいくらか年金をもらっていて、家族のためにって言って搾り取っているんでしょ？
肩でも揉んであげてください。
きっと拗ねていたおじいちゃんも虫のコスプレなんかやめて出てきますよ。
部屋から出てきたら、脳トレとかやらせといてください。

カフカを研究する大学教授の見解

カフカの変身の場合、一番の稼ぎ手であったグレゴール・ザムザが虫になったことで、家計を圧迫してしまうが、今回の場合、ただの年金暮らしのじいさんだ。
何ひとつ問題はない。
そのまま外部には漏らさず、年金だけもらっておきなさい。
間違っても、巨大虫になったおじいちゃんのお尻にリンゴなどを投げてぶつけないように。
ご飯には、その辺に生えている葉っぱでもあげておきなさい。
あと、きっと母親が決まってヒステリックを起こすと思われるので、遠ざけておきなさい。
おじいちゃんは睾丸がとびっきりでかくなったから部屋から出れないんだとでも説明しておけば、万事よいだろう。

介護ケアの専門家

ベッドが小さすぎるように思います。
体がしっかりおさまるベッドを買うことが先決でしょう。
さもなくば、虐待の通報を入れさせてもらいます。
また、おじいちゃんを虫呼ばわりすることも、介護ケアの観点からおすすめしません。
見た目がどうであれ、おじいちゃんはおじいちゃんです。
今後も虫呼ばわりするようでしたら、通報させてもらいます。
また、おばあちゃんは何をしているのでしょうか？
1枚目のイラストを確認すると、右上の暗い空間がありますが、そこにおばあちゃんを閉じ込めていませんか？
若干ヒゲが生えているように見受けられるので、身綺麗にしてあげてください。ヒゲは剃ってあげるべきです。おばあちゃんとはいえ、女性ですから。
さもなくば、やはり通報させていただきます。
あと、おばあちゃん、よく見るとスーツを着ているように見えるのですが……
え、右上の人は知らないおじさん？
そうでしたか。
知らないおじさんが、虫になったおじいちゃんを見物に来ているということでしょうか？
見物料をとっているのでしたら、おじいちゃんにも還元してあげてくださいね。
拒否すると言うのなら……やはり通報させていただきます。
と言うか、よくイラストを見ると、右隣の小さなおっさんと腕がつながっていませんか？
これ、どんな人体実験をしたんですか？
やはり通報させていただきます！

専門家のみなさん、ご回答いただきありがとうございました。

回答を受けて、今から、依頼主に電話をかけてどのような結論にするかお話を伺おうと思います。

プルルルルル

依頼主＞＞もしもし？

こんばんわ。いや、朝方の4時なので、おはようございますでしょうか。

依頼主＞＞あ……私の家では時間帯にかかわらず「おざすー」で統一していまして……

おざすー＾＾

依頼主＞＞おざすー＾＾

専門家3人に意見をもらったのですが、どうでしたか？

依頼主＞＞あ、おじいちゃんの件ですよね。ありがとうございました。

いえいえ。

依頼主＞＞コスプレかもしれない、とのことでしたので、家族全員でおじいちゃんの腹のあたりから皮をべろっとめくってみたんですが……

ほうほう。

依頼主＞＞普通に巨大な虫に変身してたっぽくて、内臓出ちゃいました。

ああ、やったなー＾＾

依頼主＞＞お母さんが起きてきて、もうパニック。ヒステリーに奇声、阿鼻叫喚って感じでして。

でしょうな……

依頼主＞＞ゲロゲロ吐いちゃいまして、巨大虫の皮で吐瀉物を掃除しました＾＾

ほお……

依頼主＞＞で、片付けしてから、大きな玉みたいなものが2つ出てきまして。

もしかして……

依頼主＞＞そうなんです。巨大な睾丸だったんです＾＾

なるほど。

依頼主＞＞一応、それにスーツ着させて、おじいちゃんとしてベッドの上には置いてます。

そうですか。

依頼主＞＞はい。でもベッドにおさまりきらない大きさなので、大きなベッドを買おうとは思ってます

それがいいですね。

依頼主＞＞けっこう人気があって、知らないおじさんとかが見物に来ます。

来るんだ＾＾

依頼主＞＞あと、年金はしっかりもらっています。

そうね。

依頼主＞＞睾丸って、脳みそと似たところがあるじゃないですか？

シワとか色とかね。

依頼主＞＞そうなんです。だからスーツ着た睾丸の横で、脳トレの問題とか出してあげています。

親孝行だね＾＾

依頼主＞＞ありがとうございます。

今日はありがとうございました。無事依頼が解決されてよかったです＾＾

依頼主＞＞ありがとうございました。

おばあちゃんによろしくお伝えください。

依頼主＞＞はい、伝えます。今、スーツ着た睾丸の肩を揉んでいます。

さようならの挨拶の文言は決まっているんですか？

依頼主＞＞一律で、「おざすー」ですね。

おざすー＾＾

依頼主＞＞おざすー＾＾