ジェットコースターのような人生
「ジェットコースターのような人生だった……」と女はぼそりと言った。
確かにそうだった。
まず生まれた瞬間に安全ベルトで母親の背中に固定され、弾圧多きこの国を逃れた。
地雷原を抜け、空から降る爆弾を避け、山を登り、海を泳いだ。
炎をあげる活火山を回り込み、人々の悲鳴を子守唄代わりに成長してきた。
母親は私を必死になって助けてくれた。
山あり谷ありを猛スピードで駆け抜けた人生だった。
母親が力尽き、安全ベルトを外された時、わたしはもう50歳だった。
母の死場所はモンゴルだった。
どうやら、人生の後半は、メリーゴーラウンドのような人生になるらしい。
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