
満腹に愛
「もうお腹いっぱい!」と娘は言った。「もう何も入らない!」
そう言う娘の腹はぽっこりと膨らみ、空になった皿がテーブルに山積みになっている。
「本当にもう何も入らない?」と母親が念を押す。
「何も入らない!」と娘が満足げに言う。
すると途端に母親は悲しそうな顔をして、目を閉じて首を振る……。
「もう何も入らないの……食事が詰まった内臓だけでいっぱいいっぱいなんて……あまりに可哀想!もうこれ以上、愛とかちょっとした道徳心なんかを詰め込もうものならすぐに破裂してしまうのね」
母親はカバンの中から道徳の本を取り出し、「ごちそうさまでした」のページをそっと開いた。
幼い娘の顔が歪んだ。

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