飲みニケーション
「おい!飲みにいくぞ!」
先輩から飲みの誘い。断ると評価が下がり、風当たりが強くなるため飲みニケーションは必須。
先輩の2億回目くらいの武勇伝に耳を傾け、首がもげるくらい熱心に相槌を打ちながら聞く。
しかし、先輩は実績ありの超有能、地位も名誉も才能もあり、素敵な妻と子どもに恵まれ、家は一等地。仲間からの信頼も厚く、スポーツもルックスも良し。かと思えば、ジョークのセンスも抜群で人当たりも良く、自分には厳しく他人には優しくがモットーで、実際その通りの人間。身のこなしもスマートでケチなところがなく、飲食店ではさりげなく店員さんにお礼を言うし、食事中にはトイレに行かないというエチケットも備えている。食べ終えた皿は、猫が舐めたみたいに綺麗で、米粒ひとつ残さない育ちの良さもある。
飲みニケーションと言うと悪い印象が先行してしまいがちだが、その先輩との飲みの席に関しては、「爪の垢を煎じて飲みニケーション」と僕は呼び、重宝している。
※こちらは140字小説として作成した際の、初稿の文字数を削る前のもので、おます。
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